透析施設開設までの道程⑫更生医療の指定手続き

2013年4月24日水曜日

お仕事

透析に関わる医療費は高額となる
健康保険を適用した場合であっても
自己負担(70歳未満3割、70歳以上1...今後、変わる?)が大きい

負担額が大きい上に永続的であるため、
これら救済のための公費負担制度として
長期高額疾病に関わる特例(マル長)と
障害者自立支援医療(更生医療)が設けられてきた
その他に各自治体毎の医療費助成制度がある
(自治体によって異なるため説明は割愛)

公費負担の優先順位は
マル長→更生医療→自治体の障害者助成制度となる

まず、マル長とは
特定疾病(腎臓病)にかかる特例(長期高額疾病)として、
特定疾病療養受領証が交付される
これにより自己負担限度額は月10,000円、
一定以上の収入があれば20,000円までとなる

自己負担10,000円なら何とかなるのでは?
と、考える方も少なくないと思われる

しかし、透析を導入するということは、
最低でも週3回、治療時間だけでも4時間以上
医療施設で拘束される(ちょっと言い廻しが変かな:汗)ため
一般的な就労に就くことは難しくなり、
当然、世帯収入が激減し、生活が困窮する

オレの勝手な解釈だが、
透析患者さんが身体障害者として認定されているのは、
ただ単に疾病による身体機能の障害だけではなく、
透析治療を永続的に受けなくてはならないことにより、
普段の日常生活に障害をきたすためという理由では?

透析患者さんは通常、身体障害者1級に認定され、
医療費の自己負担軽減(更生医療の給付)のみならず
税控除や減免、交通機関の割引などの
公費負担により福祉サービスが受けられる
(一定の所得のある方は公費負担対象外)

透析患者さんの医療費の支払いを大雑把に説明すると
マル長で軽減された残りの自己負担を
更生医療と自治体の助成制度で賄い
より負担を軽減しようとしてくれている
(一定の所得がある方は、自己負担が多いです)

...で、前置きが長くなりましたが
本題の更生医療とは障害者自立支援支援法の自立支援医療のこと
この更生医療を受けるには、身体障害者認定の他に
指定自立支援医療機関の医師の証明が必要となる
(調剤を受ける調剤薬局も指定医療機関である必要がある)

また、更生医療の医療費を受給するためには、
指定医療機関で受療する必要がある
つまり、指定医療機関以外で透析を受ける場合、
自己負担が増えるケースもあるということ...

生活保護受給者の透析医療費も、この更生医療で賄われるらしい

ならば、透析施設としては指定を受けるのは責務ですよね

透析施設(医師)が指定自立支援医療機関の指定を受けるためには
各都道府県に申請手続きを行わなければならない

申請に関する規定および申請書類は
以下のリンクから...
 「人工透析に関する専門研修・臨床実習証明書」の中に専門研修とあるが、
これはどうやら日本腎臓財団の「透析療法従事職員研修」のことらしい
また、血液浄化療法に関わる臨床実績が1年以上という条件もある
日本透析医学会の専門医は同等の以上の経歴をすでにお持ちなので、
この限りではないんだろうな...(きっと)

今まで何度か申請に関わってきたが、
「透析療法従事職員研修」の件は、
以前はなかったような...
昔は臨床実績1年以上の証明だけでOKだったように記憶している

あと、基準は示されていないが、
透析の設備や人員配置(体制)も申請審査に必要

全腎協が2006年に調査した更生医療の利用率は全国平均で26.5
決して少ない数字ではないので、
患者さんのためにも指定は必須だと思われます