DW設定再考 ~今さらながらの⊿BV計〜

2012年1月30日月曜日

お仕事

DW(ドライウェイト = 乾燥体重)なんて言葉自体、
死語になりつつあるのかな?
厳密には"目標体重" "至適体重"なんでしょうね

このDW、一般的には
定期検査 = CTR、hANP、IVC径(CI)などや
臨床症状 = 血圧、不定愁訴、浮腫の有無など
を指標に設定されているものと思われます

この定期検査は
一般的には1ヶ月〜3ヶ月に一度程度しか
実施されていないのではないでしょうか
日々変化しているであろうDWの指標としては
あまりにも物足りない

もちろんこの結果を鵜呑みにして次回検査まで
DWを固定するなんてことはしていないと思われます
普段の臨床症状を見てDWを微調整し、
定期検査で確認するというのが一般的だと思います

ただし心疾患などの合併症があると、
一般的な正常値(至適範囲)が当てはまらないので、
判断に苦慮することが多々あります

血圧に関しては、
透析中の除水に伴う変化を追っていくと判りやすいですが
体位、体動、精神状態、測定者による測定方法の差異により
正確に測れていないことが多い

(ただでさえ正確に測れていないのに)血圧の値ばかり気にするあまり
患者の訴えを無視して無駄な処置が行われることも少なくなく、
正確な血圧測定法はもちろんのこと
身体所見や愁訴を鑑みるよう指導してますが、
なかなか上手く周知されず...

このようなことが多々あるので、
当院では家庭血圧の値を参考にしております

最近ではDWの指標として⊿BV計や体成分分析装置を
用いている施設も増えているようです

この⊿BV計、クリットラインが発売された当初から
DW設定の有力な指標として期待されておりましたが、
なかなか有用な方法が確立されないまま現在に至っております

当院でも⊿BV計を使用しておりますが、
これといった方法論は確立されておりません
患者毎の過去の⊿BV(%)の推移と比較し、
「除水量は同じなのに、いつもと下がり方が違うような...」など
"なんとなく"といった経験則で判断して、
DW設定の一助としておりました

この(いい加減な)方法を取り入れても
問題になったことはありませんでしたが、
スタッフによって判断に多少のズレが生じるなど、
指標と呼ぶにはあまりにもお粗末であった
(結局、定期検査や臨床症状が優先される)

担当医からの提案で
何かしら一定の基準を設けてみることを検討

仮にDWが同じだったとしても、
増加Wt(除水量)によって⊿BV(%)の下がり方は違うわけで、
この除水量の大小の影響を
補正後の⊿BV(%)の推移で比較してみるってのはどうか?

用いるのは透析4時間時点での⊿BV(%)
除水プログラムは用いず均等除水のみとし、
途中、処置(除水停止、補液、高浸透圧輸液など)を行った場合は除外

とりあえずは増加Wtが比較的安定している
水・木曜日(中日)のデータの推移で検証してみることにした
経験的に過不足のない安全な除水量として一般的な
DW×3%/4hrで補正した値を用いて
hANP、CTR、家庭血圧、IVC径などの推移と比較してみた

開始からおよそ3ヶ月経過したデータから、
補正⊿BV(%)が大きく変化のあった数症例で、
補正⊿BV(%)の推移とhANPの推移が逆相関していた

心疾患のない安定した症例はもちろんのこと
うっ血性心不全などにより元々hANPが高い症例でも、
その後の変化としてはほぼ逆相関

「これって使えそう...」と、起案した担当医がニンマリ ( ̄ー+ ̄)フッ

補正⊿BV(%)の値によってDW変更の可否判定を分類
とりあえず5〜8%をproperとして
それより低値ならDW↓、高値ならDW↑といった具合

まだ検証期間は短く、変化があったのも数症例のみなので、
現時点では自信を持てる段階ではありません
補正除水量がほんとうにDW×3%/4hrで良いのか?
properが5〜8%で良いのか?など
まだまだ検証しなくてはならないことが多々あります

この⊿BV計は体成分分析装置(InBody)よりも安価だし、
誰でもわかりやすく有用に使用できるようになれば、
普及に弾みがつくのでは?
上手くいったらメーカーさんには何してもらおうかな...?
¥(▼▼メ) ∑\(゚д゚;)ソンナニアマクナイッテ!