2013年3月12日火曜日

透析施設開設までの道程⑦透析治療区画の設計

設備設計の不具合は、
開設後に修正することは容易ではない
将来に渡っての透析室運営の成否を左右しかねないため、
初期設計の段階から慎重に検討するべき

まずは治療区画(透析室)の設計から考えてみる

血液透析治療は、
ほぼ反復した治療を永続的に行う治療であり、
標準的な 1 回 4 時間以上の治療を週 3 回行う場合、
1ヶ月でおよそ 52 時間、年間およそ 624 時間、
治療前後の待機・回復時間も鑑みると、
一診療毎の医療施設(透析室)で過ごす時間が非常に長く、
患者さんには長時間頻回に拘束されるストレスがあるという特徴がある

このため、透析(治療)室の環境が患者の治療や
QOLに大きく影響を与えることに留意する
また、高度医療機器を使用する治療のため、
医療機器に不具合が起きてしまうと治療の継続が不可能となり、
最悪は患者状態に影響を与えるなど医療事故に繋がりかねないため、
医療機器を設置する際に必要な建築設備は
製造メーカーの添付文書を尊守することが重要である

以前、投稿した感染対策を考慮した動線とともに
安全の確保とストレスレス環境の構築を考慮した
治療区画の設計が求められる

① バリアフリー化
独歩、要介助、車椅子、ストレッチャーと来室形態は様々
患者が離床し入退室の際に、
ストレッチャーと車椅子がスレ違える
動線幅、ベッド間幅を確保する(1.2m 以上推奨)
また、治療室の入口にはタッチスイッチ式の自動ドアを設置し、
力を入れずに出入り出来るよう配慮すると良い
② 照明
ほとんどの場合、治療中はベッド上で臥床して経過するため、
天井が視界に入りやすい
数時間もの間、蛍光灯の明かりが直接視野に入りやすいため、
眩しさによる不快感を訴える患者が多い
調光機能付き照明で対応する施設もあるが、
治療中は患者の状態が急激に変化することがあり、
スタッフは常時観察をおこなわなくてはならないため、
顔色などが見えにくいと対応が遅れる場合がある

そこで設置が増えているのが間接照明と個別のダウンライト
室全体を明るくする反面、
直接照明が照らされないため眩しさを感じない
ダウンライトは処置時に必要な照度を確保でき、
不要時には消灯しておけるため、処置灯の役割を担う
どこの施設さんの画像か不明ですが勝手に拝借(汗)
③ 空調・換気
透析中、快適に過ごしてもらうためには
温湿度管理は欠かせない

しかし、一般的な天井付け空調では、
吹出口の形状から風向が不均一であり、
ベッドの配置によっては直接風が当たってしまい
寒さや極度の乾燥を訴える患者も少なくない
(逆にまったく当たらない場合は暑い場合もある)ため
壁または床吹き出し型の空調設備が推奨される

既存の天付空調機に取付ける整流板として以下の物もある
エアロウィング
ハイブリッドファン
また、院内感染予防の観点から、
換気設備の設置は必須であり、
機能や吹出口の位置などを慎重に検討する必要がある
建築基準法で求められる換気量を満たすために
24 時間換気システムの設置が必要
④ プライバシーの確保
前述したように、
同時に多人数が隣り合わせのベッドで
拘束されつつ治療が進むため、
治療中のプライバシーの確保は難しい

例えば治療中に便意を訴えたら、
治療から一時離脱して独歩またはスタッフの介助により
トイレに行ければまだ良いが、
治療により急激に体調の変化を来す場合が多く、
また近年は透析患者も高齢化が進んでおり、
寝たきりの患者さんが増えているため、
ベッド上で排便処置を行うことが少なくない

他にも外科的治療や皮膚科領域の軟膏処置など
脱衣しての処置などを透析治療中に行うことも珍しくない
処置はベッドの両側および足元に目隠しをして行うこととなる

患者間の人間関係が複雑な場合もある
性格上他人との関与を強く嫌う方も少なくない

また、院内感染予防の観点から、
ベッド間を広く空け(1.2m 以上)、感染症発症時には
個室への隔離が推奨されている

近年、ローパーテーションなどにて
個別ブース化する施設も増えてきているが、
一時的な隔離やプライバシーの確保のみを考えた場合
天井付けのロールブラインドが
設置コストが安価で使い勝手も良いと思われる
北彩都病院さん
画像を勝手に拝借(汗)
特に注意を要することが、看護や医師による診療が、
透析ベッド上で行われることが多いということ...

他患者に個人情報を聞かれてしまうというリスクを孕んでいるため、
事前に本人の承諾を得るのが慣例となっているが、
個人情報保護法に抵触しかねないため、
検査結果など診療の説明は別室で行うことが望まれる

⑤ カウンター
医療用電源コンセントや患者 TV 端子、
透析装置と電源・給排水配管との接続、
医療ガスアウトレット(酸素、吸引など)、
医療スタッフの作業スペース確保、
患者荷物置場と...多様な目的で使用されるカウンター

患者ベッド頭側へのカウンターは、
既製品はないため建築工事時に製作することになる
奥行きは 500mm 程度と事務机より若干狭いくらい
血液や薬液の付着が多い箇所のため、
清拭しやすく耐薬品性の高い材質を用いる

⑥ その他
長時間、天井や壁を見て過ごすと
閉塞感にかられることとなるが、
患者の足側や側面に窓を設置することで、
外の景色を眺めることでき穏やかに過ごすことができるものと考える

壁や床の色を薄いピンク系にすることで、
明るい雰囲気となり温もりを感じることができ、
また汚れも目立たず
色あせなど経時的な変色や劣化が少ないとも言われている

木をふんだんに使う施設さんもあるようですが
建築費用は高くなりますね(汗)

血液透析治療は大量の血液を体外に導き出して行うため、
室内には生臭い血液臭が充満するため、
空気清浄機やアロマディフューザーの設置も考えると良い

また、血液が飛散することが多く、
高頻度で消毒液を使用した清拭を行うため、
床材や壁紙なども耐薬品性に優れた建築資材を使用する
...かなり長文になってしまい申し訳ありません(汗)
この調子でまだまだ続きますのであしからず(苦笑)

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