医行為の線引き

2012年4月25日水曜日

お仕事 時事ネタ

「特定看護師」制度創設に向けて、
業務として行える医行為の範囲の話し合いが行われたようですね

医行為分類の検討(56行為)(たたき台)

5段階評価(A-E、Bは2分類)で以下のような分類とした
  • A = 絶対的行為 = 医師のみ実施
  • B1 = 行為の難易度が高い = 特定看護師も可
  • B2 = 判断の難易度が高い = 特定看護師も可
  • C = 一般の医行為 = 一般看護師も可
  • D = さらなる検討が必要
  • E = 医行為には該当しない
これって特定看護師だけの話ではなく、
他の医療職にも影響を及ぼす内容ですので、
我々臨床工学技士も他人ごとではありませんね


看護業務検討WGが第21回会合
「器械出しは看護師の仕事か?」医行為の線引き難航
他職種への影響も課題に

日経メディカルオンラインより
「放射線技師の業務範囲との整合性はどうなるのか」─。医師が行う医療行為の一部を特定の看護師に解禁するため厚生労働省の作業班が検討を進めているが、「CT、MRIの画像評価」など他職種の行為と重なるものもあり、線引きが難航している。

厚労省は4月23日、昭和大救急医学教授の有賀徹氏を座長とする「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の第21回会合を開き、2010年夏に実施した看護業務実態調査で取り上げた203項目(現在看護師が行っている医行為、将来的に一般看護師が実施可能と想定される医行為、将来的に特定看護師〔仮称〕が実施すべき医行為、他職種による実施が適当と考えられる業務)をA~Eに分類する作業を進めた。現在、56項目まで終えたが合意には至っていない。

厚労省は前回会合で50項目を示し、今回新たに6項目を追加した。厚労省は56項目の行為について、技術や判断の難易度に応じて、A(絶対的医行為)、B(特定行為)、C(一般の医行為)に分類。これらABC以外の行為をD(要検討)、E(非医行為)とした(資料)。医師しか実施できないA分類は現在、「局所麻酔(硬膜外・脊髄くも膜下)」のみで、特定の看護師が実施できるBは29項目、一般の看護師でも行えるCは18項目、Dは3項目、Eは5項目としている。

器械出しは看護師の仕事か?
厚労省は、手術の進行をサポートする「手術時の臓器や手術器械の把持及び保持」(手術の第一・第二助手)について、技術的な難易度が高いB1に分類したが、異論があった。

東大大学院医学系研究科教授の真田弘美氏は「手術の助手は医師がすべきだと一般のナースは思っているのではないか」とA分類の可能性を示唆しつつも、「器械出しが看護である意味は、手術の流れを滞らせず、できるだけ早く手術を終わらせるところにある。そういう意味で、器械出しのナースは直接介助のナースと何も変わらないのでCかなとも思う。非常に悩ましい」と述べた。

一方、星総合病院理事長の星北斗氏は「看護師でなければ器械出しができないのか。患者さんに触れれば別だが、手術室に入って器械を出すという行為は診療の補助ではない。どこの誰がやったっていい。器械出しは看護師の仕事だと明示するのか」と述べ、特定の看護師のみができるB(特定行為)に位置付ける厚労省案に反対した。

これに対し、厚労省医政局医事課課長補佐の石井安彦氏は「器械出しには様々あり、医師が道具を受け取る時に手元を見るような場面もあるし、術野から目を離さず手元を見ないで受け取るような状況もある」と説明、「医行為に該当するかを個別具体的に判断させていただく」と答えた。

「他職種への影響に注意が必要」
他職種との関係も問題になった。「CT・MRI検査の画像評価」について厚労省は「B2またはE」としており、「行為を実施するタイミング等について判断の難易度が高い」(B2)とする一方、「医行為に該当しない」(E)と判定した。

ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長の秋山正子氏は「画像診断を医行為に入れてしまうと診療放射線技師の方の業務範囲を狭めるのでEになっているのか」とE分類の問題点を指摘。「(CT・MRI検査の画像評価など)他職種の業務規定に抵触するような言葉を使うと、他職種の仕事に影響するので気を付けて分類する必要がある」と注意を促した。

厚労省は別途配布した「医行為分類における留意点(案)」の中で、E分類の行為を「単に専門的な知識を持たなくても実施できる行為」だけではなく、「医師と協働して実施することが前提の行為であるため医行為と分類されないが、各々の医療関係職種の高い専門性に基づいて実施すべきものも含まれている」として、様々な行為を広くE分類に含めている。その一方で、E分類の行為であっても「医学および看護の専門知識に基づいて実施されるべき」と補足している。

「患者さんが中心だ」
董仙会理事長の神野正博氏は「放射線技師など他のチーム医療の方々が行う医行為との整合性を取らなければいけない。他職種を参考人に呼んで、整合性をしっかり図る必要がある」と要望したが、座長の有賀氏は「他の業界筋の代表がマルと言うかペケと言うか、無理に気を遣う必要はない。基本的に患者さんが中心だ」と返した。

神野氏はまた、E分類の「単純X線撮影の画像評価」を挙げ、「医政局長通知ですべての放射線技師に認めているから医行為ではないと言うならば、放射線技師にも医行為ができるよう、このWGの親会議で検討すべきだ」と求めたが、三育会理事長の英裕雄氏が「分からないものはEなど後回しにして、まず明らかなものから分類して前に進むべき」と反論した。

厚労省の分類作業にかかわった防衛医大外科教授の前原正明氏は「医行為とはなんぞやということで悩んだ」と打ち明け、「1つひとつ、ピシッとABCDEに分けられるとは限らない」と述べた。一方、E分類の「患者・家族・医療従事者教育」について、「医行為には該当しないが特定看護師にぜひやってもらいたい」と求めた。患者・家族や社会のニーズなどを分類の判断要素に入れるかについては、まだ議論されていない。

意見交換を終え、座長の有賀氏は「Eについてはかなり意見が出たのでまた議論していく。B1、B2はとりあえずこれでいい」とまとめた。203項目の分類作業は次回以降も続く見通し。
特に気になったのが...
「血液透析を実施している慢性腎不全患者やCHDFを実施している急性腎不全患者の血液検査の結果や身体診査所見、循環動態等を評価し、透析条件や流量の設定変更等を実施する。」
...が特定看護師も行えるB-1評価となっておりました

想定される場面としては...
  • 術後の急性腎不全で CHDF を装着中の、血圧が低下してきた患者に対して、医師の指示の下、血液ポンプの流量を下げて経過を観察する。
  • 維持透析中の患者に対して、医師の指示の下、看護師が予定されていた設定に基づき、維持透析装置を操作し、透析中の経過観察を行い、装置及び患者の状態に問題がないことを確認する。
...だそうです
これって普段からあたりまえにやってたけど、「グレー」だったってことなのかな?

他にも臨床工学技士業務にも影響しそうなものが目白押しでした
この案をきっかけに、特定看護師の話のみに終わらさず
全医療職の業務範疇のグレーな部分が見直されることを願います