透析の食事制限

2012年4月17日火曜日

お仕事

未だに透析患者さんに対して、
厳しい食事制限を課している施設さんってあるんですかね?

日本腎臓学会の「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」では...
ステージ5D(透析療法中・血液透析の場合)
生命に直結しかねないのは塩分、水分、カリウムの過剰摂取
これらの摂取量は少なければ少ないほど良いのは明らか

特に塩分は口渇 = 水分摂取にも影響するため
患者さんには、味噌、塩、醤油のような塩分を含んだ調味料はできるだけ使用せず
素材の味を楽しむように指導しているが、
特に高齢者や透析歴の長い方なんかは、
味覚障害になりかけていることも少なくないので、
「味気がない」と過剰に調味料を使う傾向にあるように見受けられる

ちなみに水分を過剰摂取する患者さんに
いきなり「水を飲んではダメ」と指導しても(怒っても)無駄ですよ
「だって喉乾くんだもの...」と言い訳しているように思われますが、
これはDWの調整がうまくいっていないことと、
塩分摂取量が多いことが原因ですよね...

患者さんには、まずは塩分を制限させること
すると自然と増加体重減ってきますよ

DWの設定は未だにCTRやhANPなどの
検査データ神話が根強いようですが、
家庭血圧の推移や患者の訴えや症状など
細かいところに注意を払って、
マメに変更してやることの方が大切に思われます

DWを月2回程度の検査結果で固定してしまう事が
そもそもおかしいんですよ!

健常人だって、食い過ぎたらあっという間に1kgくらい簡単に太るでしょ?
肉太りしたらDW上げてやらなきゃ、
水分足りないんだから体が水を欲するのは当たり前
挙句、透析までキツクなる始末ですよ

体重増加が多いのは患者さんが悪いんじゃなく、
医療者側の指導(説明)不足、観察不足が原因のことが多いのでは?

除水を100gも残しちゃ絶対ダメ!なんて考えている
患者さんや医療者の方って、未だ少なくないようですしね...(苦笑)
うちは500gくらい簡単に残しますよ(笑)

エネルギーや蛋白質(リン)の摂取については
よく食べて、よく運動し、しっかり透析をしていれば、
上記の制限はある程度緩和できるものと思われます

どこぞの先生が「限定自由食」なんて謳っていますが、
8時間透析までやらなくても、
ある程度時間を延ばしてマイルドに効率をあげることで
体への負担も少なく、代謝産物の除去も効率的に行われます

また運動により筋肉量も増え代謝が上がるのみならず、
過剰水分のプールも筋肉優位となり、
皮下組織にプールされるよりも
透析の除水によるplasma refillingがスムーズとなり
血圧低下をおこしにくくなる

健常人だって食い過ぎや運動不足は生活習慣病の元
好きなだけ食って、寝てばかりいたら誰だって調子悪くなりますがな...

常識的に食べ飲みして、適度に体を動かして、きちんと透析をやれば
自然と元気になってきますって...(笑)

医療者にうるさく言われたって、そう簡単にできるもんじゃないですよね
患者さん自身が常識的に自発的に行えるよう、
我々医療者は正しい情報提供を行うことが使命...なのかな?

私見交りで長々と語らせていただきました
全ての方にあてハマるとは限りませんので、
勝手に解釈せず、必ず主治医とご相談されてくださいネ