ダイアライザの種類を増やす

2011年6月14日火曜日

お仕事

以前、エセon-line HDFを行なっていた際、
ダイアライザは必ず高効率・高透水性のものを選定
結果、全てⅣ型、Ⅴ型のポリスルフォン(PS)系のみとなった

当時、使用していた銘柄は
FDY-GW(PEPA)、VPS-HA(PS)、FX-S(PS)、APS-SA(PS、2.5㎡のみ)くらい
膜面積を変えて使い分け、
全てのダイアライザで必要に応じてon-line HDFを施していた

昨年、on-line HDFが認可され、
同時にヘモダイアフィルタも発売され、
エセon-line HDFを続けるのはマズイだろうということになり、
本当に必要な(適応のある)患者以外はHDへ移行することに
その際に採用したのがAPS-EXだったが、これもPS

昨年から「ダイアライザによる高齢透析導入患者の予後に与える影響」という
EVALの大規模研究に参加させていただくようになり
当然、EVALは採用となる
これをきっかけにダイアライザの見直しをかけようということで、
PS系を減らし他の膜材質の採用を目指すことに・・・

まずは合成高分子だけじゃツマらんということで、
ベタだけどセルロース系トリアセテートのFBシリーズを採用
実はこのFB、昔(10年以上前)は当たり前に使っていたが、
膜保護のために塗布されているグリセリンのせいで、
プライミング時の脱気が非常にやりにくくて、
嫌いになったダイアライザだった

当時、この件でメーカーの営業に噛み付いたら
「開発の者が簡単なエア抜き方法を伝授してくれる」と、
本社からわざわざ連れてきてくれたのは良いが、
ご教示してくださった方法では、
オレが普段やっている方法よりも脱気が悪かった・・・なんてこともあった

最近はグリセリン量をかなり減らしたようで、
以前よりは脱気しやすくなったようなので採用することにした

他に気になったのはPAN-AN69膜(特定積層型)
実はこの膜は今まで使ったことがなかった
個人的には印象の悪いダイアライザだから・・・

理由は、
①滅菌がEOGであるということ
透析で使用する滅菌材料は極力EOGを排除してきたため
②皆さんご存知のACEI投与者へ使用した場合のアナフィラキシーショック
投与薬剤のチェックなど気を付けていれば問題ないのだが・・・
③プライミングが面倒くさい!
積層型だなんて特殊な形状なものだから、
ただでさえ流れが不均一なところにグリセリンまで塗布され、
挙句、膜同士がくっつきやすいからとプライミング手技に制約まで設けられている

しかし、最大の理由は儲け主義と思われる!ということ
請求できる材料費が高い割には納入価が安い、つまり差益が大きい

吸着除去性能、細孔の均一化、陰性荷電、生体適合性などなど・・・
様々な特徴を持ったダイアライザが市販されているが、
機能分類毎の溶質除去性能はどれも大して変わらないし、
生体適合性も目に見えて違いを実感したことがなかったので、
膜材質毎の性能差なんてほとんどない・・・と考えていた

なのに、わざわざ面倒くさい物を使う理由は
"儲け"が絡んでいるに違いない!と思ったからだ

しかし、いろんな選択肢を用意しておくというのは決して悪いことではない
うちは患者数は決して少ないわけではなし、患者層や病態も多様なので、
試してみたら良好な結果を得られる患者もいるかもしれない
決して"儲け主義"に転落したわけではないが、
特徴を生かせそうな数症例に試用することとなった

あとはPMMAくらいか?
これを取り扱っているメーカーとは昔から反りが合わない
先方も何となく来難いのか?ここ数年、まともに挨拶にすら来ない
しかし、ここまで来たらPMMAも使ってみたいものだ
卸業者さんに首根っこつかまえて連れてきてもらうとします