イソジン→ハイポ→穿刺?

2014年4月23日水曜日

お仕事

先日、参加した血液浄化技術学会
たまたま拝聴した穿刺に関する一般演題のご発表の中で
イソジン(ポピドンヨード)で消毒後、
ハイポアルコール(チオ硫酸ナトリウム)で脱色してから
穿刺をしているというお話があって、
あれ?と思った次第... ハテ?(。_゚)?

質問者からツッコまれておったが、
ハイポアルコールも多少なりとも消毒効果有りと切り返しておりました!?

当院で使用しているハイポアルコールはこれ
"滅菌"って書いてるけど、
開栓した時点から時間の経過と共に汚染されるよね...
本気で清潔に使用したいなら、単包製品を使うべき
ラベルや添付文書を見たら
エタノール(CH3CH2OH)が36%含有!?
エタノールアルコールの至適濃度って
70%(60〜90%で消毒効果を発揮)でなかったっけ?

これじゃ消毒効果は期待できないよね
製品によっては60%以上含有しているものもあるようだけどね

エタノールとイソジンって抗菌スペクトル的には
同等の効果が期待される
...が、持続性ではイソジン > エタノールってことになっている

また、ハイポアルコールでの脱色という行為は
化学的に不活性化させるので、
持続効果を期待できない

イソジンは乾燥させることで、
遊離ヨウ素の酸化作用によってたんぱく質を変性させ
微生物を抑えこむ(無害化する)

ハイポで脱色することで、
遊離ヨウ素を還元してしまい、
化学反応でヨウ素イオンにしてしまい、
消毒効果を打ち消してしまうらしい...

...だから、
ハイポが仮に(エタノール60%以上含有なら)消毒効果があるからと言って、
ヨードの脱色のために使ったら、
せっかくイソジンで消毒した意味なくね?

それなら、初っ端から70%程度のエタノールのみで消毒すれば良いのに...

当院ではAVFはエタノール清拭のみ
AVGと表在化動脈にイソジンを使用しております

感染症学会のQ&AにあったIVH(CVカテ)の消毒法を参考に...
まずは汚れ(皮脂や蛋白)落としのため
エタノールで清拭
次にイソジンを単包の綿棒で塗布
穿刺部を中心に外側へ向かってグルグル...
(◎д◎;)メガマワル〜
全体を塗り終わったら
乾燥させるため2分ほど放置
早く乾燥させようと、手で扇ぐ輩もいるが無意味
空気中の粉塵を余計に付けるだけ(苦笑)

乾燥を確認してから穿刺
この患者さんはAVF(翼状)針を使用
 穿刺したら滅菌された透明ドレッシングで密閉
A・V両側をドレッシングで密閉したら
周囲の余分なイソジンをハイポアルコールで脱色
ハイポアルコールは"不潔"という前提で
未滅菌ガーゼに含浸させて、作りおきをしております
(当然、消毒効果なんぞ期待してません)

ドレッシング内のイソジンだけ残すことで
消毒効果の持続と汚染の機会を減らすことを期待

ハイポって若干だけどヌメリ感が残って、
テープが貼りにくくなってしまうので
乾いたガーゼで拭きとってからテープ固定

写真のように
穿刺針のチューブ側のドレッシングが浮いてしまっているのを
ドレッシングの上から固定テープで押さえつけ
塞いでしまっても良いかと思われます

自画自賛の方法なのですが、
誤りがあるようならご指摘願います <(_ _)>ヤサシクオネガイ...


[2017/3/6]
この記事は2014/4/23に作成しておりますが、
未だにアクセスが絶えないようなので追記いたします。

2017年現在、AVFおよびAVGの穿刺部位消毒に
ポピドンヨード(イソジン)は推奨されておりません。
詳しくはこちら↓の記事をどうぞ。
https://oompa-de-loompa.blogspot.jp/2014/05/vasucular-access.html
https://oompa-de-loompa.blogspot.jp/2017/01/blog-post_4.html