コロナウィルス騒動と人工心肺!?

2020年3月13日金曜日

お仕事 時事ネタ

過去のいろいろと経験させてもらった業務の中で、
人工心肺領域だけは、随分昔(20年以上前)に、
浅く短くしかやってなかったので、
知識としては無いに等しい(汗)

そんなオレが、齧った程度の知識で語るので
誤りがあったら、ご指摘ください(汗)

まず、広義のECMOについて...

肺炎やARDSなどの重症呼吸不全、
重度の循環不全状態に対して、
呼吸・循環を補助する目的で使用される
体外循環装置である
おおまかに分けて
呼吸だけを補助するVV-ECMOと、
呼吸も含めた循環全体を補助する
VA-ECMO(≒PCPS)がある

ちなみに、PCPSは、
テルモ社のエマセブという装置を含めた製品群の呼称で
日本を含むアジア圏でしか使われていないそうな
欧米では通じないんだってさ(苦笑)


詳細は
臨床工学技士 岡井さんの集中治療ブログ」さんでも
紹介されてるね

...で、このECMO(PCPS含む)は、
広義の人工心肺装置に分類される

しかし、厳密には、
開心術などで使用される
狭義の人工心肺装置(CPB)とは
一線を画すものだよね

...で、
今、大騒ぎになっている
コロナウィルス感染症にて
肺炎が重篤化し重症呼吸不全となった感染者に
「人工心肺装置を用いた」という報道を
よく耳にするけど、
これってECMO(PCPSも含む)のことね

新型肺炎で重篤な患者 「人工心肺装置」使い過半数が回復へ - NHK NEWS WEB -

...で、この報道の中で...

「ECMOを使った治療には専門的な医療技術が必要だということで、国内では、新型コロナウイルスの患者、およそ300人をこの装置で治療できる体制になっているということです。」

...と、
日本国内にECMOは300台(しかない)と
誤解を招く表現が散見され、
SNS上で、一般の方(に混じったエア医療者共)が、
これを真に受けて拡散し、
「300人以上に増えたらどうなるんだーっ!?」と、
大騒ぎしてるよね(苦笑)

先日、日本臨床工学技士会で
最近のコロナ禍の状況を受けてか(?)、
「人工呼吸器およびECMO装置の取扱台数等に関する緊急調査」をやっとったけど、
結果、全国で軽く1,400台以上はあるようですけど?...

300台しかないって騒いでるのって、
人工心肺装置(CPB)のことか?...と、思いきや、
JaSECTの2017年アンケートでは、
「人工心肺を使用する手術」を行っていると
回答した施設数だけでも450施設ほどあるわけだから
台数はこれ以上あるということだよね...
(施設数の1.3倍と言われているそうな)

どこから300っていう数字が出てきたんだろ?

さらに、報道では、
まるで、このECMO(人工心肺装置)を使ったことで
回復したような表現がなされているけど
一般の方が見たら、
ECMO(人工心肺)使ったら
コロナによる肺炎が治るんだ...と誤解を招くよね

あくまでもコロナウィルスが原因の
ウィルス性肺炎で
呼吸不全に(肺から通常の呼吸がしにくく)なって
このままだと生命の危険があるから、
機械で呼吸の補助を(酸素化を良く)してあげて、
その間に、肺炎の治療をしてあげましょう...ってことであって
ECMO自体が肺炎の治療装置じゃないってこと

マスゴミも、
専門家(関連学会)から聞いたと言いながら、
正確に書き起こせないんなら、
フェイクニュースと一緒だろ!
天下のNHKが、もうちょっと考えて報道してほしいよな(怒)

SNS上では、この記事を自称・著名人(元国会議員とか)共が
引用して拡散しちまってるもんだから、
手がつけられないよな(苦笑)

臨床工学技士などの聡明な医療従事者の方々が、
そのような投稿をみかけては、
火消し(否定)してくださっているようだよ

そのうち日本臨床工学技士会や関連学会から
マスゴミにクレームを入れるなり、
批判(否定・修正)コメントを出すなりしてくれると
期待したいところ(笑)

ついでに、この人工心肺装置(ECMO)を扱ってるのは
臨床工学技士だぞー!って、アピールできれば尚良しだね(笑)