2017年9月24日日曜日

患者負担を減らす人工臓器の開発

人工心臓、小型化で向上「生活の質」 研究、透析にも光
朝日新聞DIGITALより

■科学の扉

弱った心臓の働きを助ける補助人工心臓が小型化し、多くの患者に使われるようになってきた。退院して社会復帰できる例も増え、利用期間も長くなっている。膵臓(すいぞう)や腎臓でも患者の負担を減らす人工臓器の研究が進む。
補助人工心臓の役割
■実用化半世紀の道 4割が社会復帰の例も

重い心不全などで弱った心臓の働きを助け、血液を体内で循環させる補助人工心臓。心機能の回復や、移植を待っている間に欠かせない装置だ。

関東地方に住む男性は2年前、拡張型心筋症と診断されてから、血液を送り出す小型ポンプを体内に植え込む人工心臓を使っている。自宅で生活できるようになり、仕事にも復帰。A5サイズのコントローラーにバッテリーをつけ、カバンに入れて介助者と外出もできる。周りの人や物に、体内とつながるケーブルが当たらないよう注意が必要だ。
体外設置型 補助人工心臓
1960年代に開発され始めた初期の補助人工心臓は体外設置型で、「拍動流型」という体外のポンプを空気圧で拍動させて血液を送り出す仕組みだった。空気を送る駆動装置は大型で、消費電力も多いため、装着は入院が原則だった。

2000年ごろから、小型のポンプを体内に植え込むタイプが相次いで登場。米国では現在、年に約3千人が手術を受けている。日本では2011年以降、四つの機種が保険適用され、これまでに約700例の実績がある。16年からは、心臓移植を受けずに植え込み型補助人工心臓をつけて過ごす長期在宅治療の治験も始まった。
植え込み型 補助人工心臓
東京女子医大では、植え込み型をつけた患者の4割が、社会復帰したり復学したりしたという。立石実助教は「植え込み型の登場で、患者さんのQOL(生活の質)は格段に上がった」と話す。

■ポンプの小型化、植え込みを可能に 課題は感染症のリスク

小型化の鍵となったのは、ポンプの工夫だ。拍動流型はポンプが大型で、耐久性にも難点があった。

東京女子医大に在籍していた山崎健二さん(現・北海道循環器病院先進医療研究所長)は1989年ごろ、拍動させずに一定の速度で血液を流し続けるシステムの研究をヒントに、心臓の左心室のそばにポンプを植え込み、大動脈とつなぐ「定常流型」という方法を思いついた。
植え込み型補助人工心臓のポンプ部分
山崎さんらは、この方式を使って補助人工心臓を試作。ポンプ内に小さな血の塊(血栓)が生じ、脳などの血管を詰まらせる塞栓(そくせん)症を防ぐため、軸受けに水が循環し、羽根車が動圧で浮いたまま回転する仕組みを採用。ポンプの重さが420グラムの「EVAHEART(エバハート)」を開発した。現在、ポンプの外側を薄くしてさらに小型・軽量化した後継機の年内承認を目指す。

海外でも、接触軸受けの「HeartMate(ハートメート)Ⅱ」の次モデルは、磁気で羽根車を浮かす仕組みを採用。バッテリーなどのケーブルを耳の後ろから出すJarvik(ジャービック)2000の別のモデルが使われ始めるなど、進化が続いている。
治療に使った補助人工心臓について説明する
富山大付属病院の絹川弘一郎教授(右)
と深原一晃准教授
小型の補助人工心臓の登場で、患者の生活の質が上がり、長期間使うことができるようになったが、課題も残る。利用者は、血栓予防で血液が固まりにくくする薬を飲み続けるため、消化管出血などのリスクが高まる。体内のポンプは外部のコントローラーとケーブルでつながり、感染症を起こしやすい。拘束型心筋症など、一部の心臓病には使うことができない。

完全に体内に植え込める補助人工心臓の登場も待たれるが、山崎さんは「電池の故障などのたびに手術が必要になり、現実的ではない。人の臓器に人工の機械が追いつくのは難しいのでは」と話す。

■インスリン注射、透析にも変革の一歩 人工臓器、研究進む

膵臓(すいぞう)や腎臓の働きを担う人工臓器の研究も進んでいる。

糖の代謝に必要なインスリンを膵臓で作り出せなくなる1型糖尿病。毎日インスリン注射をする手間を減らせるのが、体に常時取り付けておく携帯型のインスリンポンプだ。
インスリンポンプと人工腎臓
腹部につけたセンサーで血糖の参考値を測り、利用者が量を設定すれば、チューブを通して自動でインスリンを注入でき、微量の調整もできる。下がりすぎを予測するとアラームが鳴る。ポンプを扱う日本メドトロニックの村中祥生さんは「外食中や学校、会社などで注射を打ちづらいという声は多い」と話す。

米国では、血糖値に応じて最適な注入量を決める完全自動の「人工膵臓(すいぞう)」が臨床応用されたが、日本での導入は決まっていない。

腎臓の働きが下がってくると必要になる透析も、患者にとって大きな負担だ。東京医科大の菅野義彦主任教授と、慶応大の三木則尚教授は「インプラント(植え込み型)人工腎臓」の開発に取り組む。
地震対策のされた病院を想定した揺れの実験。
パイプでベッドに人工透析装置が固定されている
=兵庫県三木市の兵庫耐震工学研究センター
三木さんが透析装置の小型化に取り組んだのがきっかけ。透析用の濾過(ろか)フィルターを使い、血管と尿管をつなぐ。体内で血液をこして、不要物は尿として排出する。従来の透析回数を減らすねらいだ。三木さんは「装置だけなら数センチ角の大きさにできる」と話す。人間の腎臓なら、こぶし大で実現できるのではないかと言う。この夏からはイヌによる研究が始まった。

菅野さんは「実現して透析を少しでも減らせれば、患者はとても助かるはず。再生医療が進むまでの橋渡しになれれば」と意気込んでいる。(水野梓)

■臓器移植、平均待機3年 人工心臓、高まるニーズ

海外に比べて日本の臓器提供数は少ない。昨年の脳死下臓器提供は64例で、心臓は52件だった。2015年時点で、人口100万人あたり、米国は28・5人、韓国は10人で、日本は0・7人だった。心臓移植では、移植までの平均待機期間が約3年で、長期化している。

米国でもドナーが不足しており、補助人工心臓を使うケースは増えている。15年は3千例ほどが植え込まれたが、半数はその後も心臓移植を受けずに、補助人工心臓を植え込んだまま過ごす長期在宅治療だったという。

単に臓器移植までの繋ぎだけではなく、
社会復帰目的で人工臓器も選択肢になるほど
進化してたんだね...スゲェな(驚)

それでも、長期使用となると、
まだまだ不完全で、
生体臓器には、及ばないんだろうな...(汗)

デバイスは、完全な埋え込み型となれば、
感染のリスクは下がるだろうけど、
ペースメーカーのように
(電池などが)消耗したら交換(手術)となると、
これまた、いろんなな意味でリスクが高そうだね(汗)

再生医療か?埋め込みデバイスか?
どちらが早期に実現されるのか?

...ではなく、
まずは、少しでも患者さんの負担を減らせる治療法として
確立できれば良いよね

0 件のコメント:

コメントを投稿