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透析液濃度管理の標準化

一昨年の血液浄化技術学会日臨工学会でも
この件に関してのお話があったね

透析液濃度管理
透析液成分濃度測定装置の標準化について

SIEMENSのHPより

多種多様かつ効果的な透析を実施するにあたり、透析液の成分濃度(Na・K等の電解質)の測定は大変重要です。しかし、現状では同じ透析液を測定してもメーカーや機種ごとに結果が異なっています。
そのため、日本血液浄化技術学会、日本臨床化学会、検査医学標準物質機構(ReCCS)、日本臨床工学技士会、日本透析医学会が協力し「透析液濃度測定の標準化」や精確に測定できる装置を用いた「透析液濃度の管理方法」についてのガイドラインの作成を行っています。

透析液の成分濃度測定に関する全体組織図と役割

特定医療法人五仁会 元町HDクリニック 臨床検査部技師長、清水 康先生に
「透析液濃度管理の必要性」についてお話を伺いました。

Q1.透析液濃度管理の必要性を教えて下さい。

処方せん医薬品である透析液は、医薬品としての基準をクリアしたA剤・B剤として透析施設に納品されますが、施設の管理の下に透析現場で使用直前に希釈混合されることで、初めて完成した調製済み透析液となります。そして、患者さんに人工腎臓の灌流液や補充液として使用されます。

このように透析現場で使用直前に最終製品となるわけですから、当然、透析液の品質(混合精度、成分濃度)を管理する必要があります。最近では、多種多様な浄化手法として、大量に透析液を体内に負荷するオンラインHDFやiHDF、透析回数や透析時間変更、さらに急性期も含め透析液組成や濃度を変更するなど、臨床症状に応じた透析液を使用する事があり、様々な条件下による臨床評価が行われ議論されています。透析液の精確な濃度確認ができなければ、当然ながら治療効果が異なり、予後に影響が出ます。従って、「透析液の出来具合を確認する」という濃度管理を実際に行っている医療スタッフ(技士)の責務は大きいと言えます。

また、医療事故に至らないよう、患者さんが安心して透析を受けられるように濃度管理体制を整えることは大変重要です。

Q2.透析液供給装置における品質(混合精度、成分濃度)管理についての注意点について教えて下さい。

元町HDクリニック ラピッドラボ348EX
透析液は、作り置きができないため、使用直前に調製します。
それは、調製直後より少なからず変化が起こり、品質が長時間保持できないからです。
個人用透析装置においては、ベッドサイドで調製しながら使用するので質の経時変化はほとんどありませんが、装置毎に濃度管理が必要になります。この場合は主に混合精度(Na、K)となりますが、濃度処方が変更されることもあるため、該当する項目の濃度を精確に測定する必要があります。
日本の多くの施設で運用されている多人数用セントラル透析液供給システム(CDDS)では、同質の透析液を大量に作製できるメリットがある半面、調製場所から使用場所(透析用監視装置)までの移送が必要となります。濃度調整に不具合が生じた場合、全員が影響を受け、調製から使用されるまでの移送システムや時間による質の変化も否めません。こうなると、正しい混合精度とpH、pCO2、重炭酸などの調製後に透析液中で変化しうるもの両者を測定する必要があります。

装置である以上、メンテナンスや修理、調整によって濃度が変動する事があるので、その際の品質(混合精度、成分濃度)管理は重要です。

Q3.透析液の測定について改善すべき点を教えて下さい。

透析液を測定する分析装置にも改善すべき大事なポイントがあります。それは分析装置により透析液の測定値が異なる点です。本来全血を測定する血液ガス分析装置で透析液を測定した場合、当然ながら真値と異なった測定値が報告されます。そのため、NaとKに補正式を追加した透析モードを用意しているメーカーもあります。それでも各メーカーの分析装置で同じ透析液を測定するとデータが異なるのです。これは各社が独自の手法による補正式を設定しているためです。これではどの装置が精確なのかわかりません。

透析液を精確に測定できる装置の普及が必要不可欠です。どこのメーカーの装置で測っても同じデータが得られるようにならないといけないと思っています。それで初めて信用できるデータとなるわけです。そのためには透析液濃度測定の標準化が必要であり、基準となる透析液測定用標準液が生まれました。

Q4.透析液測定用標準液について教えて下さい。

透析液測定用標準液(以下、標準液)とは、日本血液浄化技術学会、日本臨床化学会POCT専門委員会および検査医学標準物質機構(ReCCS)の協力の元で作製した酢酸系とクエン酸系の「透析液測定用常用参照標準物質(JCCRM 300)」のことを言います。これは透析液と全く同じ成分で作製されており、実試料標準物質とも言われます。

本標準液は、各社各種の分析装置で透析液を測定した時に、同じ結果が得られるように各メーカーがモノサシとして使用する基準となる物質です。各メーカーがこの標準液を用いて装置校正することを、透析液を対象とした測定装置の標準化作業と言います。

この標準化された測定装置を使用して、混合装置の調整を行えば、どの施設においても精確な透析液の濃度管理が可能になります。

このように標準化された透析液濃度測定に基づいて、患者さんのユースポイントまで適切な濃度の透析液を安定して供給するために、日本透析医学会、日本臨床工学技士会および日本血液浄化技術学会が透析液の管理方法について検討し、ガイドラインを策定しています。

Q5.標準液を作製した際、飽和KClとpK6.1のヘンダーソンハッセルバルヒの式を使用した重炭酸イオン(HCO3-)が算出できる分析装置を基準としたのはなぜですか?

標準液のpHの基準は、トレーサビリティ―が確立しているNISTのSRM 189であり、これはpHの国際基準となっています。比較電極の内部溶液に飽和KClを使用している理由は、これを用いると非常に精確にpHが測定できるためです。比較電極はpH電極に生じた起電力を測定するために常に一定の電位を示さなくてはなりません。陽イオン、陰イオンの移動度(溶液中のイオンが動く速さ)が異なると液間電位差(性質の違う液と液との間で起きる電気的エネルギーの差)が発生するため、その液間電位差を発生させないように移動度の等しいKClを使用しています。また、その濃度も常に一定でなければ電位差が発生してしまうので、精確なデータを得るためには濃度が安定している飽和KClを用いることが有用です。

一方で重炭酸イオン(HCO3-)はpHとpCO2を用いた演算項目です。透析液は炭酸-重炭酸系の緩衝液であり、血液と同様pK6.1(炭酸の解離定数)を用いたヘンダーソンハッセルバルヒの式を利用することが理にかなっています。透析液はpH、pCO2も血液検体より測定濃度範囲が広く、pHで7.2~8.0、pCO2も30~80くらいまであります。そのためHCO3-を正しく得るには、pH電極とpCO2電極の両方の精度が重要となります。あくまで、pHとpCO2は別々に測定され双方の演算式である限り、一方の精確性が劣れば演算値であるHCO3-は大きな影響を受け、正しく算出されません。

Q6.透析液のサンプリングの注意点を教えて下さい。

透析液中のNaやK濃度は採取後も安定ですが、濃度が安定した時点で採取する必要があります。一方で、透析液は緩衝能力があまり強くないため、変化してしまう項目もあります。なかでもCO2は逸脱しやすく、pHが上昇してしまいます。そのため、ガス系の濃度を精確に知るには、治療に提供している透析液を正しく反映するような採取タイミングと採取手技そして測定までが重要となります。必ず密閉系での採取と出来るだけ迅速な測定をお願いします。

Q7.これからの透析環境(透析液管理)の理想についてご意見を聞かせて下さい。

日本の透析技術は世界に誇るものがあります。透析液の管理についてもそれは言えることです。しかし現状の濃度管理ではまだ不十分なことがあります。患者さんのQOL向上のため、より良い透析濃度管理体制を構築していく事が必要です。

欧米では腎臓移植が一般的であるのに対して、日本では透析医療が主体という独自の進化を遂げ、現在に至っています。これからもより良い進化を遂げていくことでしょう。

透析医は、患者さんが少しでも長く元気に過ごせるように、様々な事柄にこだわり積極的に取り組んでいます。透析液に対してもそうであり、患者さんの病態を考えて透析液の種類を変更したり、調節しています。精確に測定できることで、どの施設においても透析医が望む濃度の透析液が供給できるような環境になればと願っています。

最後に、最近の透析現場では臨床工学技士や看護師の方々が、超音波装置も含め臨床検査機器を使用することが多くなってきているように思います。また、患者さんのすぐそばにいる関係上、検査結果についても尋ねられることも多いと思います。私は臨床検査技師が本業ですので、今後もそのあたりの事柄についてピットホールも含め、上手に橋渡しする仕事に携われればと思っています。

当院での透析液濃度測定は、
浸透圧計とpH計に加え
アーリアメディカルのPOCT分析装置「epoc(エポック)」で
ガスと電解質を測定しているんだけど、
透析液モードがないので、QCモードで測定
補正すらしてくれないんで、
本末転倒な測定結果(Naが高くてKが低いとか...)となることも(汗)

...なので、
個々の測定値の信ぴょう性は置いといて、
浸透圧と電導度と共に、測定値の推移を見るようにしてる
...あんまり意味ないと思うんだけどね(汗)

ガイドラインが公開された暁には、
ルールに沿った管理ができる測定器に買い換えてもらおうっと

それまでは、浸透圧計とpH計の校正を
測定毎に行ったり、きちんと保守もして、
精度管理をしかっりやっていくとします

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