透析患者さんは長期入院が難しくなるかも…

2011年7月2日土曜日

お仕事 時事ネタ

一般病床の長期入院、次期改定の検討課題に- 鈴木医療課長「ほとんどが特定除外に」

CBNewsより
厚生労働省保険局の鈴木康裕医療課長は6月30日、日本慢性期医療学会のシンポジウムで、来年4月に実施を予定している次の診療報酬改定では一般病床に90日を超えて長期入院する患者の取り扱いが検討課題の一つになるとの見通しを示した。長期入院患者の入院基本料は、通常の点数に比べて最大627点減額される仕組みだが、現状ではほとんどの患者が、減額の対象にならない「特定除外項目」に当てはまるため。

鈴木課長はまた、「東京や大阪のような大都市と人口密度の低い地域とでは、病床の在り方や在宅医療の進め方にかなり差がある。それを全国一律の仕組みでやることには無理がある」と述べ、地域特性に対する配慮を次回以降の改定で検討する考えを示した。

一般病棟入院基本料を算定する病床に長期入院する患者の診療報酬は、点数が低い「特定入院基本料」(包括点数、928点)を算定する仕組みで、事実上6-627点の減額となる。しかし、難病のほか人工呼吸器を装着しているなど12項目ある状態(特定除外項目)のどれかに該当すれば通常の入院基本料の算定が認められ、減額を回避できる。

シンポジウムで鈴木課長は、「一般病床に90日を超えて入院するほとんどの患者さんが、特定除外項目に含まれている」と指摘し、こうした取り扱いを検証する必要があるとの認識を示した。

一般病床での長期入院の実態を明らかにするため、同省が昨年6月に実施した調査では、長期入院する患者の割合は、一般病棟13対1では10%未満が53.5%を占め、15対1でも20%未満が過半数を占めることが明らかになった。

13対1や15対1入院基本料を算定する病床に対しては、医療療養病床と機能が重複しているとの見方があるが、鈴木課長は「一部についてはその通りだが、大部分はそうではない」と指摘した。
「特定除外項目」の取り扱い検証するとありますが、
適応を厳しくする方向で検討するということでしょうか?

「特定除外項目」を以下に示しました

難病や重症、人工呼吸器を装着していたりなど
在宅での療養が困難な症例ばかりです
その中に人工腎臓(透析)もあります





状態等 診療報酬点数 実施の期間等

1 難病患者等入院診療加算を算定する患者 難病患者等入院診療加算 当該加算を算定している期間

2 重症者等療養環境特別加算を算定する患者 重症者等療養環境特別加算 当該加算を算定している期間

3 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等(※1参照) 左欄の状態にある期間

4 悪性新生物に対する治療(重篤な副作用のおそれがあるもの等に限る。)を実施している状態(※2参照) 動脈注射 左欄治療により、集中的な入院加療を要する期間

抗悪性腫瘍剤局所持続注入

点滴注射

中心静脈注射

骨髄内注射

放射線治療(エックス線表在治療又は血液照射を除く。)

5 観血的動脈圧測定を実施している状態 観血的動脈圧測定 当該月において2日以上実施していること

6 リハビリテーションを実施している状態(患者の入院の日から起算して180日までの間に限る。) 心大血管疾患リハビリテーション、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション及び呼吸器リハビリテーション 週3回以上実施している週が、当該月において2週以上であること

7 ドレーン法若しくは胸腔又は腹腔の洗浄を実施している状態(※3参照) ドレーン法(ドレナージ) 当該月において2週以上実施していること

胸腔穿刺

腹腔穿刺

8 頻回に喀痰吸引・排出を実施している状態(※3参照) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出 1日に8回以上(夜間を含め約3時間に1回程度)実施している日が、当該月において20日以上であること

気管支カテーテル薬液注入法

9 人工呼吸器を使用している状態 間歇的陽圧吸入法、体外式陰圧人工呼吸器治療 当該月において1週以上使用していること

人工呼吸

10 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過又は血漿交換療法を実施している状態  人工腎臓、持続緩徐式血液濾過 各週2日以上実施していること

血漿交換療法 当該月において2日以上実施していること

11 全身麻酔その他これに準ずる麻酔を用いる手術を実施し、当該疾病に係る治療を継続している状態(当該手術を実施した日から起算して30日までの間に限る。) 脊椎麻酔

開放点滴式全身麻酔

マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

12 前各号に掲げる状態に準ずる状態にある患者(※4参照)





この12項目中で真っ先に議論の矢面に立たされそうなのは
人工腎臓(透析)ではないでしょうか

平均在院日数の算定対象からも除外されるなど、
慢性期病院の経営者にとっては結構"おいしかった"入院透析も、
一般の患者同様、長期入院は減額の対象になるかもしれませんね
(あくまでも私の想像ですが…)

通院困難例は社会的入院などさせず、
介護施設への入所や送迎サービスで対応できるでしょう
未だに透析をやっているというだけで拒まれたケースもあるようですが…

当院では高齢且つ脳血管障害の後遺症などによる
重度の運動障害や意識障害などで、
寝たきりとなった患者さんが少なくありません

こういった患者さんをストレッチャーなどで
週3回も介護施設との間を往復させるというのは
現実的ではないように思われます
…となると、一般病床ではなく
療養型病床への転床も考えなくてはならないですね

もし特定除外項目から外れ、減額の対象となってしまったら、
うちの病院の経営は大ダメージです(汗)

あくまでも検証をはじめるという話だけなので、
今後の成り行きを見守ることとします