2014年11月10日月曜日

院内感染対策②疥癬

...つづき

なぜ「疥癬」が気になるかと言うと...

随分前の話だけど、
以前、勤めていた施設(病院)で、
入院透析患者さんが疥癬を発症

当時、その施設では、きちんとした対応策が確立されておらず、
疥癬と確定診断がつくまで時間がかかったため
気づくのに遅れる始末(汗)

気づかないまま、たまたま別な疾患の治療のため、
近くの基幹病院へ一時転院することになったんだけど、
先方で疥癬に気づき、
他患者さんやスタッフに感染してしまったらしく、
こっぴどく怒られた...と、言うか
しばらく嫌味を言われ続けたっけ(汗)

当然、当時の勤務施設でも、同室だった他患者さんに感染していて、
焦って、対策を練った...ということがあった(苦笑)
試行錯誤しながら、いろいろ考えてみたけど、
今じゃ考えられないようなことも試したっけ...

硫黄入浴剤の「六一〇ハップ」が疥癬に効くとか言って、
感染した患者さんの入浴に使うだけならともかく、
その患者さんの寝具などに薄めて噴霧するという、
今思えばまったく意味のないことをやって、
居室が硫黄臭くなった...なんてこともあったっけ(苦笑)
職員に帰宅後すぐの「六一〇ハップ」での入浴を
推奨したりもしたっけな(笑)

硫化水素自殺が流行った(?)んで、
一般への販売自粛 → 製造中止になったんだよね...

個人的には温泉気分が味わえて、好きだったんだけどね(笑)
(浴槽や風呂釜には悪影響があるようだけど)

ちなみに、この「六一〇ハップ」の
疥癬への効果は限定的(弱い)だそうです

...で、今さらだけど
疥癬対策についておさらいしておくとします

まず、「疥癬」ってなんぞや?

疥癬虫っていう「ヒゼンダニ」というダニが、
皮膚の角質層内に寄生して起こる皮膚病変のこと
ヒゼンダニのぬいぐるみ?
通常疥癬と角化型(ノルウェー)疥癬の2種類があり、
ノルウェー疥癬の方が感染力が強く重症化しやすい
皮膚接触や寝具・衣類の共有などで感染する
乾燥や他の皮膚疾患などで落屑がある場合も要注意
落屑とともに飛散する危険性が高い

通常疥癬は、感染力は弱いから神経を尖らせる必要はない
...という意見もあるようだが、
確定診断に至るまではノルウェー疥癬に準じて、
対応する必要がある
(以下はノルウェー疥癬を対象にした対応策を紹介)

相手はダニ(寄生虫)なんで、ウィルスや細菌と違って、
当然のことながら消毒薬は効果なし

ヒゼンダニは乾燥と熱に弱い
50℃10分以上の熱処理で殺滅できる

衣類や寝具は布団乾燥機や洗濯乾燥機を使うか、
熱湯に浸漬させる(浸漬中に温度が下がらないよう注意!)

移動の際は、飛散しないよう、
ビニール袋で密封してから持ち出す

室内環境は、まず落屑を見逃さず、きれいに掃除機で吸引
(落屑の中にヒゼンダニが潜んでる)

清掃後、ダニ用殺虫剤を噴霧
スプレー式のみならず燻蒸式(バルサン)も有効

感染した患者さんは基本、隔離(個室管理)

外用剤(軟膏、ローション)は、
疥癬に効くものがイロイロあるようだが、
落屑予防目的のためにも、全身隙間なく塗布する

内服薬は今のところ「イベルメクチン」という
駆虫薬くらいしかないのかな?

隔離室(個室)内でのスタッフは、手袋、ガウンを着用

よく居室からの出入りの際にガウンを脱いで
入口に掛けておいて、使い廻しするケースを見かけるが、
外側に付着したダニは、
掛けている間に、内側に移動してしまう恐れがあるので、
手袋とともに使い捨てが原則

脱ぐときは、付着したものが飛散しないように、
外側を包み込むように裏返しに包んで、
フタ付きの専用廃棄物容器に捨てる

入退室の際は念入りな手洗いも忘れずに

特に注意が必要なのが、
発見が遅れた場合、
それまでに接触のあった人(患者、スタッフ、家族など)に、
感染している可能性があるため、
予防的な治療と追跡調査が必要になる
これを怠ると、いつまでも新規の発症が絶えない
日本感染症学会 院内感染対策Q&Aより)

...では、当院のような、外来専門透析施設では、どう対応すべきか?
うちのように個室透析がない場合を前提に、
前述した内容を踏まえた上で考えてみた...

① 他患者との接触予防
 ・ 更衣は自宅で行ってもらう(更衣室の使用厳禁)
 ・ 送迎車には乗らない(単独での通院方法を検討)
 ・ ベッドは専用とする
 ・ 他患者と動線が交わらないよう、時間帯をズラすなどの工夫が必要
② 患者さん自身への予防策
 ・ 軟膏塗布など落屑予防をしてきてもらう
 ・ 肌を露出させない(靴下着用、シーツや予防衣で包むなど)
③ 清掃の徹底(他患者のいない時間帯に行う)
 ・ リネンは毎回交換(湿らせるなど周囲への飛散予防の工夫を検討)
 ・ 使用済みリネンはビニール袋に密封
 ・ リネン交換後は周囲環境も含めた清掃と殺虫を徹底
④  使用済みリネンの扱いを検討
 ・ 外部クリーニング業者と手順を要相談
 ・ 可能であれば、院内で熱処理(熱湯浸漬、乾燥機など)してから業者に引き渡す
⑤ 接触人員を限定
 ・ 担当スタッフを決め、余計な接触は控える
 ・ エリアを決め、出入り(動線)を厳しく制限する
 ・ 予防衣、手袋は処置毎に交換(使い廻し不可)
⑥ 皮膚科との密な連携

...思いついたものを書き殴ったけど、
こんなところかな?

あと、忘れてはならないのは、使用した掃除機の扱い
紙パック式でもサイクロン式でも、
吸いとったゴミは都度、廃棄する
落屑とともに吸い込んでるので、掃除機の中で増えるかも(汗)

掃除機のフィルターは、仕様によっては
疥癬虫が通過するものもあるので要注意(0.2μm以下)

あと、接触した度合いが不明で、
感染の危険性が少しでも疑われた際の予防処置としては、
オイラックス™軟膏を塗るかイベルメクチンを服用する
(ダニが生存しているうちはステロイド配合剤は禁)

最近、疥癬治療外用薬を謳い文句に
スミスリンローション™が発売されたので、
こちらを使ってみるのもいいかも

スミスリンと言えば、以前からシラミ用として、
シャンプーパウダー
ハエ・蚊退治で有名なキンチョーから市販されているよね(笑)

内容成分はローションと同じフェノトリンだから、
こちらも疥癬に効果あるのかな?

本音としては、入院設備の整った施設に、
透析とともに疥癬の治療をお願いしたいとこなんだけど、
無責任かな?(汗)

次はオレも感染の経験がある
ノロウィルス対策をご紹介予定(苦笑)

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