蔓延る伝統を蹴散らせ②穿刺部の消毒&テープ再考

2013年7月24日水曜日

お仕事

穿刺に関することって、
患者さんにとっては最も身近で、気になるところ...

当院では現状...
  • 穿刺部消毒は50%イソプロをお手製で含浸させた不織布ガーゼ(未滅菌)で清拭!?
  • 未滅菌ディスポグローブを装着し穿刺!?
  • 穿刺部および回路固定は未滅菌の紙バン!?しかも、幅の太いテープ同士を重ねて貼付!?
  • 上記をAVFのみならずAVGや表在化動脈にも実施!?
"伝統"などという綺麗事ではなく
ただ単に"低コスト"を目指した挙句、
穿刺部の清潔や安全な回路固定が
お座なりにされてしまっただけのこと...

現院長が最も気にしていたことで
具体的な改革を考えていた矢先に
オレが着任したので、お任せいただくこととなった

今までに、たまたま感染が起きていなかったのが不幸中の幸い...

ただ、当院は極小規模な外来透析専門クリニックであるため
経営のことを考えると、
理想ばかりを追求できないというのが正直なところ...(汗)

最低限、ガイドラインに則った方法だけでも取り入れようと思う

前職ではAVFもAVGも表在化動脈も全て、
消毒用エタノールで清拭後、イソジンで消毒し、
滅菌手袋を装着し穿刺...
穿刺孔は滅菌透明ドレッシングで密閉した後、
周囲をハイポアルコールで脱色
未滅菌のテープで穿刺針&回路固定を行う
...と、いう手順だった

理想的ではあるが、確かにコストはかかっていたな(汗)

感染のリスクが高いAVGは
この方法をそっくりそのままパクることにした
どのガイドラインを読んでみても
イソジンは外せそうにないからね...

AVFはどうしよう...

CDC血管内カテーテル感染防止ガイドライン2011
末梢静脈カテーテルを例に
挿入前に70%アルコール、
ヨードチンキまたはグルコン酸クロルヘキシジンアルコール
で皮膚を消毒するとあるが...

透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル(三訂版)では
VAの消毒にヨードチンキは不向きとされ
グルコン酸クロルヘキシジンもVAの消毒の適応がないと...

2011年版 慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドラインでは
ポピドンヨードかアルコール、または併用と...

やはりイソジンかアルコールが良いのかな?

消毒効果の持続時間や抗菌スペクトルを考慮すると
イソジンが圧倒的優位だが
穿刺部保護テープの選択や清潔操作を誤ると無意味となる
費用対効果を考えた場合、
消毒用アルコールも捨てがたいけどね

アルコールは70%程度が一番消毒効果が高いとされている
消毒用エタノールは酒税相当額が課されているので
イソプロパノールの方がお得らしい * 。~(*~∇~)/□ノメルノダァ

未滅菌の脱脂綿やガーゼにアルコール製剤を
まとめてひとつの容器に浸して使用するのって
衛生面に疑問を感じずにいられない

取り出す際に、いろんな手が入り込んだり
作り置きが横行したもんだから
随分前から推奨されてないよね

消毒用アルコールを選択するなら単包製品を使うとしよう
次に、穿刺孔の保護はどうする?
滅菌されたテープを使うのは当然として
高額なドレッシングは必要だろうか?
昔、救急絆創膏を貼っていたことがあったが、
せっかく滅菌はされていても
通気が良すぎて、細菌や汚染物質などの侵入から
穿刺孔を保護することにはならないだろうな...

ネットサーフィンしながら探してみたが
ドレッシング材以外に良さげなものが見あたらないな...

テープ類は、ただ安価なものというだけではなく
肌への低刺激性と粘着力と剥がしやすさも兼ね備えた
安全性の高いものが求められる

早速、複数の卸業者にサンプル依頼しまくった
衛生面と安全性のみならず使い勝手と価格も重要視しつつ
バランスの良いものを採用するとします

最後に、滅菌ディスポ手袋を使うか否か...
使わないなら、それなりに手技・手順を厳格化する必要がある
清潔操作自体怪しいなら、滅菌手袋履いても一緒なんだけどね...

まずは、手順(ルール)作りをしてみて、
スタッフ全員、完璧に熟せるか試してみるとします