ボタンホール穿刺

2012年3月2日金曜日

お仕事

当院でボタンホール(BH)穿刺導入してから4年ほど経過します
当初は全患者を対象にしようと目論んでいましたが、
実際にはそう上手く行くわけもなく...

BH穿刺の利点は...
  • 穿刺部位が限定されるので、刺跡が目立たない
  • 穿刺痛が軽減される
  • スタッフの技術差に関係なく誰でも同様に行える
  • 鈍針を用いて皮下のトンネル(固定ルート)を沿うように刺入するため、血管を突き抜けるなどの失敗がない
  • 抜針後の止血が通常穿刺より良好
...等々、言われておりますが...
  • 穿刺痛が増強した
  • 皮膚と血管の穿刺孔がズレてしまい、探るなどして通常穿刺より時間がかかる
  • 皮膚と血管の間に針先が入ってしまう(当院では"ポケット"と呼んでいる)
  • 穿刺孔の治癒が早く、固定ルートを作成し難い
  • 抜針後の止血が悪くなった
...等によりBH作成を諦めた症例も多数おります

中には「BH穿刺はシャントに良くないと聞いたゾ!」と
どこから聞いたのかわからない情報に惑わされて、
最初っから拒否された方もおります

結果、BH穿刺を導入して未だ継続できているのは全患者の1/4程度
実際、上手く行っている患者さんには好評で、
関わるスタッフの負担も少なく一石二鳥

しかし、最近は転入されてくる患者さんがメッキリ減ったので
BHを新規導入することがほとんどなくなった

BHを導入した当初にオレが作った患者さんへの説明用リーフレット
かなりの力作と自負しておりました(デザインが気にいってます)が、
めっきり出番が減り、色あせたまま放置されておった
当院で導入した当初、
ダルニードル(D針)も検討しましたが、
ペインレスニードル(P針)の方が固定ルートが作りやすく、
患者さん、スタッフ共に評判が良かったです
一部スタッフに「血液の逆流が確認できない!」と文句付けてきた輩もおったが、
「指先で血管に入った感覚を養え!」と一蹴してやりました(笑)

高価で手間がかかる割には、効果がイマイチと聞いていたので、
使ったことがありません

P針はカタログ上17Gと16G(外径)しかありませんでしたが、
メーカーにお願いしたら15Gも作ってくれました
しかし、太くなると入り難く断念した症例が続出

当院には通常穿刺で14G針を使用し、
QB400ml/minで行なっている患者さんがおります
毎回、超太っい針をあちこち刺すのはかわいそうだと思い
メーカーに14GのBH針を作れないか相談しましたが、
あまりにも太いのでBH穿刺は無理では?という結論に...

以前、人工血管にもBH穿刺を行なっておりましたが、
(原因が定かではありませんが)グラフト感染が続出したため
その後は対象から除外しております

動脈表在化にも試してみたいと思っておりますが、
論文や情報がほとんどなかったため、未だ躊躇しております

個人的にはBH穿刺は好きなのですが、
部下くんが作った固定ルートの患者さんを穿刺すると、
なぜか高い確率で上手く入らないということが...?
(当の本人が刺すとスムーズに入るのだが...)

固定ルート作成時の刺入角度や感覚などは、
最初に作成に関わった者じゃないとわかり難い場合があります
穿刺者それぞれにクセがあるので、
固定ルートが確立されるまでは可能な限り同じスタッフが関わり、
他スタッフへバトンタッチする際は、
ある程度の期間、指導が必要であると思われます